残尿感とは
「残尿感」とは、排尿後に尿がまだ残っているような感覚がある状態です。「膀胱に尿が残っていないのに残尿感がある状態」と、「排尿後でも膀胱に尿が残っている状態」によって、原因となる疾患は異なります。
「膀胱に尿が残っていないのに残尿感がある状態」は、急性膀胱炎や膀胱結石、膀胱腫瘍、過活動膀胱の可能性があり、「排尿後でも膀胱に尿が残っている状態」の場合は、神経因性膀胱や前立腺肥大症などが疑われます。残尿感でお悩みでしたら、ぜひ当院までご相談ください。
残尿感の症状を起こすことがある疾患
- 膀胱炎
- 神経因性膀胱
- 過活動膀胱
- 心因性頻尿
- 膀胱憩室
- 前立腺肥大症
- 慢性前立腺炎
- 骨盤臓器脱 など
治療方法
膀胱炎の場合
抗生物質によって治療します。処方された抗生物質は、症状が緩和されてからでも、医師の指示に従って服用し続けましょう。また、近年では、抗生物質への耐性を持った薬剤耐性菌が増えています。最初に処方した抗生物質を服用し続けても回復できなかった場合は、医師へ相談してください。
膀胱炎は再発しやすいため、日ごろから「我慢せず、尿意を感じたらすぐトイレへ行く習慣作り」と、「こまめな水分補給」を行いましょう。
神経因性膀胱の場合
神経因性膀胱は、パーキンソン症候群や認知症、糖尿病、腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患によって、尿を溜めたり出したりする神経がうまく働かなくなることで発症します。特に、検査結果で「残尿が100㎖以上ある」と指摘された方は、神経因性膀胱の可能性があります。
膀胱の働きを整える薬剤や、膀胱・尿道の神経の働きを良くする薬剤などで残尿を治しながら、原因となる疾患も同時に治療していきます。薬物療法や原因疾患の治療を行っても改善されない場合は、自己導尿(専用のカテーテルを尿道から膀胱に挿入して、定期的に尿を排出させる治療法)を行います。
骨盤臓器脱の場合
骨盤臓器脱は、子宮や膀胱、直腸が膣または肛門から脱出してしまう疾患です。出産経験のある女性の約4割が発症すると言われています。原因は、出産や加齢などによって、子宮・膀胱・直腸を支えている骨盤底筋群(筋肉・靭帯)が緩んでしまうことです。そのため、緩んでいる骨盤底筋群を鍛えるトレーニングで治していきます。
進行すると手術やリハビリが必要になり、治療に時間を要してしまうので、自覚症状がありましたら早急にご相談ください。
過活動膀胱・心因性頻尿の場合
過活動膀胱とは、尿が溜まる前に尿意切迫感(我慢できないほどの強い尿意が突然起きること)を感じることで、頻尿や尿漏れが起きる疾患です。心因性頻尿とは、緊張やストレスなどでトイレが近くなる状態をいいます。
これらの症状は内服薬の服用を中心に治療していきます。他にも、生活習慣の改善やトレーニングなども行い、根本的改善を目指していきます。