膀胱炎とは
尿を溜めるところ「膀胱」に炎症を起こす疾患を、膀胱炎といいます。膀胱炎は、大腸菌などの腸内細菌が、尿道から膀胱の中へ侵入して増殖することによって発症します。
「排尿後にしみる」「排尿時の不快感」「尿の回数が多い」などの症状がある場合、「膀胱炎」が疑われます。また、尿道が男性より短い女性に多いです(尿道が短いことにより、細菌が膀胱まで到達しやすくなるため)。
本来、細菌は尿と一緒に膀胱の外へ排出されますが、尿意を我慢したり体調不良で免疫力が落ちたりすると、膀胱内で細菌が繁殖し、膀胱炎を引き起こしやすくなります。
女性に多い膀胱炎
膀胱炎の原因となる腸内細菌は、大腸・直腸に棲む菌なので肛門・肛門周囲には必ず存在します。女性の場合は細菌が肛門から膣へ侵入し、侵入した細菌は膣から尿道、膀胱、腎孟を通ろうとします。
女性の尿道は男性よりも短く、3~4㎝の長さしかありません。そのため、細菌が膀胱内に侵入しやすいと言われています。
症状
頻尿
尿意を催しやすくなりトイレの回数が増えますが、1回あたりの尿量は少なくなります。症状が強い方の中には、10分前後の間隔でトイレに行く方も存在しております。また、残尿感が現れる傾向もあります。
排尿痛
炎症を起こした膀胱が、排尿時に急激に収縮することで、排尿痛が生じます。 痛みは下腹部や尿道口に発生し、排尿途中より排尿の終了後・後半ごろに現れやすいです。
尿混濁
白血球・炎症を起こした膀胱粘膜の剥がれによって、尿が白濁します。細菌が尿の中で増殖することが原因で、中には膿のようなものが混在するケースもあります。また、尿の臭いもきつくなりやすいです。
血尿
細菌に膀胱粘膜が傷つけられることで、血尿(肉眼的血尿)が出る場合もあります。血尿は、排尿終末時血尿(排尿の終わりごろになると、血の色が強くなる血尿)であることが多いです。
上記症状を我慢して放置してしまうと、排尿以外の時でも、下腹部の痛みが生じます。
また、膀胱炎から腎盂腎炎へ移行すると、発熱や腰痛などが現れます。放置せずに、受診しましょう。
診断・検査
まずは尿検査を行います。尿は、排尿始めの尿ではなく、途中の尿(中間尿)を採取します(排尿始めの尿には、おりものなどが混じりやすいため)。
また、導尿を行うこともあります。尿検査の結果で、基準値以上の白血球数や細菌が見つかった場合、膀胱炎と診断されます。さらに調べる場合は、尿中の細菌を培養し、菌の種類を特定します。
治療
急性膀胱炎の場合は水分をこまめに取り、尿量増加を促すことで改善できます。過度の飲酒は控えてください。
また、膀胱炎は、細菌の増殖と、細菌による炎症を治す必要があるため、体内で繁殖している細菌を死滅させる必要があります。そのため、抗生物質の服用で改善させることが効果的です。抗生物質を服用することで、症状は数日~1週間程度の間に緩和されます。